「悩む」は素晴らしい

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自分が何をしたいかわからない。。。

何をしていてもなんかモヤモヤする。。。

今やっていることが果たして自分に合っているのかわからない。。。

自分が何をしたいかについての悩みは次々に販売される商品のように絶えません。

まるで我々は悩むことが趣味のようです。

一体、いつこのような悩みは止むのでしょうか?

しかし、悩みを止めるという考え自体を見直した方が良いかもしれません。

悩んでも良いのです。


今回、紹介する本は夏目漱石の『私の個人主義』という本です。

夏目漱石は小説を書く人というイメージのある人にとっては目新しいかもしれません。

こちらの本は夏目漱石の講演を本にしてまとめたものです。

本にして読むとエッセイの風を纏っています。

驚いたことに本を読んでいる最中、夏目漱石の生の声が聞こえてきます。話す際に生じる息遣いまでも感じ取れるような内容になっております。

この本にはいくつかの講演があるのですが、今回は本の題名にもある通り、『私の個人主義』というタイトルから悩む我々に向けた夏目漱石の力強い言葉を伝えていきたいと思います。


夏目漱石ですが、彼も随分と悩んでいたことが本から窺えます。

英文学を大学で専攻していた漱石ですが、大学で学んだことといえば、作文の書き方、正しい英語の発音、誰だれは何年に生まれて何年に死んだなどのような「それは英文学なのか?」ということばかりだったようです。3年間勉強しても、英文学がなんなのかよくわからなかったようです。

卒業してからは、教師となりました。

ただ、漱石は鬱憤とした感情を抱いていました。

印象的な言葉を残しています。

「私はこの世に生れた以上何かしなければならん、といって何をして好いか少しも見当が付かない。私はちょうど霧の中に閉じ込められた孤独の人間のように立ち竦んでしまったのです。そうしてどこからか一筋の日光が射して来ないか知らんという希望よりも、此方から探照灯を用いてたった一条で好いから先まで明らかに見たいという気がしました。ところが不幸にして何方の方角を眺めてもぼんやりしているのです。ぼうっとしているのです。あたかも嚢(ふくろ)の中に詰められて出る事の出来ない人のような気持がするのです。私は私の手にただ一本の錐さえあればどこか一ヵ所突き破って見せるのだがと、焦燥り抜いたのですが、あいにくその錐は人から与えられる事もなく、また自分で発見するわけにも行かず、ただ腹の底ではこの先自分はどうなるだろうと思って、人知れず陰鬱な日を送ったのであります。」

こんな表現は実際に悩み抜きを経験した人でないと出てくるわけがありません!!

相当に漱石が悩んでいたことが伝わる表現です。

そして、ついにロンドンへ留学へ行くこととなりました。

当時の留学は相当優秀でないと行けないはずです。漱石もある程度の責任感を持って留学に臨みました。

しかし、ロンドンで待っていたのは暗く陰鬱とした悩み続ける生活でした。

どんな本を読んでも嚢から出ることが出来ず、嚢を突き破る錐はどれだけ探し回ってもロンドンにはなさそうと思ったようです。

漱石はなんのために本を読むのかわからなくなってしまいました。

しかし、漱石は思いました。文学の概念を自分で作ればいいじゃないか、と。それ以外に自分を救う道がないと悟ったようです。

漱石は今までは他人本位で生きていたから、ダメだったんだと考えます。

それと同時に「自己本位」という言葉を自らの物にします。

すると、漱石は強くなりました。

不安がなくなり、明らかに自分の進んでいくべき道が見えたそうです。

金鉱を掘り当てるようにここだというところまで進んでいかなくてはならないと漱石は考えています。

「ああここにおれの進むべき道があった!ようやく掘り当てた!こういう感投詞を心の底から叫び出される時、あなたがたは始めて心を安んずる事が出来るのでしょう。容易に打ち壊されない自信が、その叫び声とともにむくむく首を擡げて来るのではありませんか。」

この喜びをぜひとも感じたいですね。幸福のためにはああここだというところまで掘り当てることが絶対に必要と断言しています。

偉大な著作を残した夏目漱石ですら、鬱になるくらい悩んでいたのです。しかし、漱石は自ら文学の概念を創ろうとしたことで乗り越えました。また、「他人本位」でなく「自己本位」で生きることで他人の言葉や思想に影響されず、自分の確固たる意志を持ったことで強くなりました。

我々も漱石のように悩み続けても良いと思います。

悩んだ先には感嘆してしまうほどの幸福が待っているのです。

ああこれだというものにぶち当たるまで突き進んでいこうではありませんか!

今回の本:

夏目漱石『私の個人主義』

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